東北の小さな集落を舞台に畑仕事をして暮らしている若い女性いち子の生活を描いた作品「little forest」夏/秋編が2014年8月に映画化、2015年2月には冬/春編が公開されました。
原作者の五十嵐さんは、作品の舞台となった奥州市衣川区に3年程暮らした経験から、
自身の実体験をもとに「little forest」を描きました。
原作・映画ともに自然の食材を使った料理が紹介され、
第10回手塚治虫文化賞にノミネート、森淳一監督・橋本愛主演で2014年〜2015年にかけて映画化されました。
衣川大森地区にて映画の公開を記念して行われた「大きな森の小さな収穫祭」内のトークショーから、
五十嵐さんの衣川(大森地区)との出会いや暮らしの様子紹介します。
ーなぜ田舎のちいさな集落に住もうと思ったのでしょうか?
私は元々埼玉(その後盛岡にも居住)に住んでいたんです。そこでは何をするにも不便の無い暮らしがありました。
でもある日ふと感じた「自分にはひとりで生活するスキルがない」という感覚に不安を覚えました。
今の生活は、水が出なければ電話ひとつで直してくれるし、なんでも誰かに頼めばやってくれるんですね。
でも島ぐらしの人たちや、こうした地方の集落の人達は生活に必要なあらゆる事をなんでも自分でやりますよね。
一度そんな暮らしをして「生きる力を身につけたい」と思うようになったのがキッカケです。
ー大森とのはどのようにして巡り会ったのですか?
面白い生活をしている知人が大森にいまして・・・
初めは遊びに2週間程行ったんですが、
知人が前に住んでいた家(牛小屋だった物を改築した家)が、寒さと老朽化で住めなくなったという事でそこに住む事にしたんです。
かなりボロかったんですが、寒かったら帰ろうくらいの気軽な気持ちだったので不安も特にありませんでしたね。衣川には結局3年くらい住みました。そこでの暮らしで体験したことが作品になっていますし、
当時暮らしていた家がlittle forestのいち子の家のイメージでもあります。
ー衣川に住んでみていかがでしたか?
山の山菜が食べ放題かな(笑)とか、そんな事を考えていましたが
屋根にも床にも穴があいてたり、動物のフンがあったりと、
まずは修理や掃除からでした。でもそんな体験もほとんど経験がなかったので楽しかったですね。
あと、地域の方々が本当に良くして下さって、いつも助けて頂いていました。
人のあたたかさが残っているなぁと感じましたね。
ー大森の魅力とはどんな所でしょう?
一言でいうとタレントが多いところでしょうか。
面白いおじいちゃんやおばあちゃんが沢山いますし、
大森の人の話は、本人の経験から生まれた言葉なのですごく説得力があります。大森を離れて気付いたのですが、
風が吹いた時に聞こえる木のざわめきの音などは、
都会にいると聞く事ができないんですが、
ふとした時に聞こえると、ホームシックというか懐かしさを感じますね。
普段気付けないですが、自分の心に影響を与えていただんだと気付かされます。
そういったところも大森の良さだと思いますし、
今後の作品にも大森での体験が必ず活かされてくると思っています。
地域の食文化は長い年月継承されてきた素晴らしい財産です。
little forestは、
映画・漫画を通じて集落の魅力を知る良い機会となりました。
いつかこんな暮らしをしてみたい、
そんな憧れさえ抱く作品です。