農村と都市をつなぐ発酵ベンチャー・ファーメンステーション

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日本有数の米どころである奥州市で、世界でも珍しい新しい産業が生まれています。

食用米が供給過多にある昨今、奥州市でも休耕田(有効活用されていない田)や転作田(食用米以外の作物を作る田)が増えています。

その中で、休耕田を耕し、未利用資源の新たな活用に挑むのが、株式会社ファーメンステーションです。原料となるのは、私たちが普段食べている食用米ではなく、家畜のエサとして栽培される飼料用米。本社を東京に、工場を奥州市前沢区に構え、発酵技術を用いて飼料用米から米エタノールを製造しています。
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通称「奥州ラボ」と呼ばれる工場は、東北本線前沢駅から徒歩15分ほどの、本杉工業地帯の一角にあります。
工業地帯と言っても、ラボの周辺は田んぼに囲まれ、目の前にはりんご畑があるのどかな場所です。

ラボの目の前には田んぼとりんご畑。奥には束稲山が広がっています。

ラボの目の前には田んぼとりんご畑。奥には束稲山が広がっています。

「東京から新幹線で一関まで来て、鈍行に乗り換えて前沢駅まで来ています。平泉から前沢までの電車から見える景色が大好きなんです。」と話す社長の酒井さんは東京生まれ東京育ち。

国際基督教大学を卒業後、金融業、証券会社を経て、東京農業大学に入学。研究室で発酵について学んだのち、それまで奥州市が進めていた米エタノール製造事業を民間に引き継ぐ形で2009年に同社を立ち上げました。

ファーメンステーション代表・酒井里奈さん。胆沢区の田んぼの前で。

ファーメンステーション代表・酒井里奈さん。胆沢区の田んぼの前で。

現在は、主力商品である米エタノールを化粧品原料として販売したり、米エタノールを使用したオリジナルのアウトドアスプレーやボディミルク、米エタノールの残さ(発酵後の米もろみ粕)を使用した石けんなど、自社製品の開発も行っています。

昨年から開発を続け、今年販売されたオリジナル商品「お米と桃のボディミルク」

昨年から開発を続け、今年販売されたオリジナル商品「お米と桃のボディミルク」

これらの商品はNEWoManやLUMINEなど東京の商業施設やオンラインショップ、市内の産直、ホテル等で販売されるほか、海外の催事にも輸出されています。

奥州ラボでの仕事は、主に製造。
市内の農事組合法人「アグリ笹森」が育てた無農薬無化学肥料の飼料用米を発酵させ、99%という高濃度のエタノールを作ります。

蒸留された米アルコール。ここからさらに濃度を上げてエタノールへ。

蒸留された米アルコール。ここからさらに濃度を上げてエタノールへ。

エタノールと聞くと化学的な難しい仕事のように思えますが、製造は同じアルコールである清酒造りに近いのだそう。
釜に米、酵素、麹などを入れ、温度管理をして発酵させる様子は、製造というより料理をしているようです。

「日本酒を作るように、お米を発酵させ、蒸留し、エタノールの元となるアルコールを作ります。日常的に機械を使ったり、実験データを取ったりもしますが、複雑な作業ではないので、理系でなくてもできることばかりです。」
と、酒井さんは話します。

発酵後の米もろみ粕は、石けんの原料に使用するほか、市内の養鶏農家によって発酵エサとして利用されます。
発酵エサを食べた鶏の卵はクセがなく素朴な味わいで、「まっちゃんたまご」として市内で販売されています。

松本養鶏場の松本崇さん。安全でおいしいたまごのため、エサはすべて国産。

松本養鶏場の松本崇さん。安全でおいしいたまごのため、エサはすべて国産。

さらに、松本さんの鶏の糞は良質な肥料として、食用米や野菜、果物に利用されています。飼料用米から受け継いできた米のバトンが、最後は食卓のごはんへと循環しました。

もみ殻を燃料にした南部鉄器の「ぬか釜」でごはんを炊く及川久仁江さん。

もみ殻を燃料にした南部鉄器の「ぬか釜」でごはんを炊く及川久仁江さん。

発酵技術を用いることで、米を別の資源に変え、新たな付加価値を生み出すファーメンステーション。完全地域密着型のこの事業は、地方創生の先進モデルとして、テレビ番組や新聞社の取材、ファッション誌への商品掲載など、メディアに取り上げられる機会が増えています。このような各メディアへの対応も大切な業務の一環となっているそうです。

また、飼料用米を栽培するアグリ笹森、発酵を担当するファーメンステーション、米発酵粕をエサとして再利用する松本養鶏場、鶏糞を肥料にして食用米を栽培する及川さん、この4者は「マイムマイム奥州」という任意団体としてイベント、ツアーなども実施しています。ファーメンステーションのスタッフは、こちらのイベント、ツアーのお手伝いにも参加しています。

最後に、代表の酒井さんからのメッセージと、日頃からファーメンステーションと活動をともにするみなさんに、どんな人と働きたいかを聞いてみました。

酒井さん

ファーメンステーションは、お米からエタノールをつくっている小さな会社です。

岩手県奥州市で、仲間の農家さんがつくる無農薬のお米を発酵、蒸留し、エタノールと鶏のエサを作っています。
前沢に小さな工場とオフィスがあり、「奥州ラボ」と呼んでいます。今回、このラボで働くスタッフを募集することになりました。

ほのかにお米の香りのするエタノールは、化粧品やアロマの原料として卸販売するほか、自社オリジナル商品の石鹸やアロマスプレーの原料にも使用しています。自社製品は、オンラインショップ、都内の百貨店、セレクトショップや、岩手県内のお店など全国で販売する他、輸出もしています。
また、地域の仲間と一緒に、循環型農業を巡るツアーやイベントを実施しているので、東京や外国などからの お客様を連れて奥州市内をご案内することもあります。

このようにファーメンステーションの仕事は多岐に渡ります。本社は東京にあり、私は普段は東京に住んでいるので、東京とのスカイプ、電話などで連絡をとりつつ、奥州ラボで働いていただきます。

将来的には、奥州ラボの運営をお任せできる方、長い目で見てずっとおつきあいできる方を探しています。

発酵、お米、農業、手仕事、岩手、地域、たくさんの人との関わり、化粧品や雑貨、アロマ、デザイン、
素敵なプロダクト、販売、ツアー、マーケティング、こういったキーワードに興味がある方がいらしてくださると嬉しいです!

少人数でやっているので、自主的に考えて動ける方、この仕事を楽しめそうだな、という方がいらしたら、是非お気軽にご連絡ください。

織田さん(農事組合法人アグリ笹森)

“この職場で働きたい”と言う強いメッセージ”が伝わるような方が理想かな

松本さん(松本養鶏場)

お米と田舎が好きな人です

及川さん(マイムマイム奥州代表)

私と飲める人―!(宴を楽しめる人という意味です)

本応募は終了しました。

【参考】
OSHU LIFE
http://oshulife.com/archives/2795
http://oshulife.com/archives/1840

コロカル
http://colocal.jp/topics/think-japan/tsukuru/20150106_41322.html

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